C#での演算処理
演算
第一日目では、Console.WriteLine()およびWrite()を用いて、様々なものを表示してみました。ここで更に、C#を用いた計算について学んでいくことにしましょう。
プログラミングでは、こういった計算のことを、演算と呼びます。ここでは簡単な演算のプログラムをみてみることにしましょう。
サンプロプログラム
プロジェクト:Sample201/ファイル名Program.csusing System; using System.Collections.Generic; using System.Linq; using System.Text; using System.Threading.Tasks; namespace Sample201 { class Program { static void Main(string[] args) { Console.WriteLine("{0} + {1} = {2}", 5, 2, 5 + 2); // 足し算 Console.WriteLine("{0} - {1} = {2}", 5, 2, 5 - 2); // 引き算 Console.WriteLine("{0} * {1} = {2}", 5, 2, 5 * 2); // 掛け算 Console.WriteLine("{0} * {1} = {2} 余り {3}", 5, 2, 5 / 2, 5 % 2);// 割り算と剰余 } } }
5 - 2 = 3
5 * 2 = 10
5 / 2 = 2 余り 1
実行結果からもわかるとおり、このプログラムを実行すると、様々な計算結果が出てきます。
演算子
このように、C#で様々な演算を行う記号のことを演算子(えんざんし)と呼びます。足し算の+や、引き算の-はわかるものの、その他の記号は何でしょう?C#で使用する演算子は以下の表2-1のようなものがあります。
演算子 | 読み方 | 意味 | 使用例 |
---|---|---|---|
+ | プラス | 足し算を行う演算子 | 5 + 5 |
- | マイナス | 引き算を行う演算子 | 7 - 3 |
* | アスタリスク | 掛け算を行う演算子 | 7 * 3 |
/ | スラッシュ | 割り算を行う演算子 | 7 / 3 |
% | パーセント | 剰余(じょうよ)演算子。割り算の余り | 7 % 3 |
この表からわかるとおり、*が掛算、/が割り算を表す記号であることがわかると思います。また、%の記号は、かなりC#のプログラミングでは使用頻度が高いので、覚えておきましょう。
パラメータの表示
このプログラムの中で、数値および、その計算結果といった、パラメータをConsole.WriteLine()の中で表示する場面があります。
Console.WriteLine""l;で囲まれた範囲内に書かれている{}の中に書いてある番号が、後で,で区切られたパラメータを表示するための番号を示しています。
後に続くパラメータの値が、5,2,5+2の場合は、それぞれに該当する番号は、0,1,2であり、{}内に同じ番号で記述されているパラメータの番号の位置に表示されます。(図2-1.)
図2-1.Console.WriteLineとパラメータの位置関係
変数
C#と変数
C#を用いれば、様々な演算ができることはすでにわかりました。しかし、これでは、決められた値の計算しかできません。実際は、色々な数値を用いて計算することが想定されるため、これでは不便です。このように、値が定まった数のことを、定数と言いますが、それに対し、C#には、値を常に変えることができる数が存在するのです。これを、変数と言います。
サンプルプログラム
まずは、以下のサンプルを実行してみてください。
プロジェクト:Sample202/ファイル名Program.csusing System; using System.Collections.Generic; using System.Linq; using System.Text; using System.Threading.Tasks; namespace Sample202 { class Program { static void Main(string[] args) { int a; // 変数の宣言 int b = 3; // 初期化と代入を同時に行う。 int add,sub; // 複数の変数を同時に宣言 double avg; // int以外の変数を宣言 a = 6; // 代入(最初に値を入れるので、”初期化”と言う。 add = a + b; // a,bの和を求める。 sub = a - b; // a,bの差を求める。 avg = (a + b) / 2.0; // a,bの平均値を求める。 Console.WriteLine("{0} + {1} = {2}", a , b ,add); Console.WriteLine("{0} - {1} = {2}", a, b, sub); Console.WriteLine("{0}と{1}の平均値{2}",a,b,avg); } } }
6 - 3 = 3
6と3の平均値 4.5
プログラムの中にa、b、add、sub、avgといった文字列が出ていますが、これが変数です。int aとある部分を、変数の宣言と言います。そのあと、a=6のようにすると、値が入ります。これを代入と言います。(図2-2)特に、変数を宣言したときに、最初に行う代入のことを、初期化と言います。
代入
数値が代入された変数は、その数値として扱う事が出来ます。例えば、a=6とすれば、aは別の値が代入されるまで、"6"として扱う事が出来ます。変数は原則的に何度も値を変えるとが可能です。つまり、変数は値を変えることが出来るのです。
変数の初期化と代入a = 6; ← 代入。(変数に値を入れる)
図2-2.変数の宣言と代入のイメージ
演算の優先順位
プログラム中に、()(括弧)がありますが、これは、計算の優先順位を変更するものです。通常、
括弧が無い場合の計算とすると、最初に掛け算の演算である「2*3」が実行され、その結果の6に1が加算されます。したがって、結果は7になります。しかし、
括弧を用いた計算とすると、()内の計算を先に行い、その結果である、3と次の3が掛けられることになります。このように、C#にも、数学と同じような演算子の優先順位があります。C#には様々な演算があるため、ここでは全てを説明するのは省略しますが、加減乗除といった基本的な数値計算に関しては、数学と同じルールに従うと思ってほぼ間違いありません。(図2-3)
図2-3.()を使用した場合と、使用しない場合の演算の処理
データ型
では、初期化の際に変数の先頭についている、intや、doubleといった文字列は何でしょうか?このような文字列のことを、データ型と言い、その変数がどのような値を扱うのかを示しています。 例えば、intは、整数型のデータ型を表し、"int a"とすると、"aは整数の値が入る変数である。"ことを意味します。なお、データ型には以下のようなものがあります。(表2-3)
データ型 | 説明 | ビット | 範囲 |
---|---|---|---|
byte | 符号なし整数 | 8 | 0 ~ 255 |
sbyte | 符号付き整数 | 8 | -128 ~ 127 |
int | 符号付き整数 | 32 | -2,147,483,648 ~ 2,147,483,647 |
uint | 符号なし整数 | 32 | 0 ~ 4294967295 |
short | 符号付き整数 | 16 | -32,768 ~ 32,767 |
ushort | 符号なし整数 | 16 | 0 ~ 65535 |
long | 符号付き整数 | 64 | -922337203685477508 ~ 922337203685477507 |
ulong | 符号なし整数 | 64 | 0 ~ 18446744073709551615 |
float | 単精度浮動小数点型 | 32 | -3.402823e38 ~ 3.402823e38 |
double | 倍精度浮動小数点型 | 64 | -1.79769313486232e308 ~ 1.79769313486232e308 |
char | 単一 Unicode 文字 | 16 | テキストで使用される Unicode 記号 |
bool | 論理ブール型 | 8 | True または False |
object | 他のすべての型の基本型 | ||
string | 文字列 | ||
decimal | 29 の有効桁数で 10 進数を表現 できる正確な小数または整数型 | 128 | ±1.0?×?10e ? 28 ~ ±7.9?×?10e28 |
初期化
再び変数の話に戻りましょう。変数は、宣言時に値を代入(初期化)することが出来ます。記述方法は以下のとおりです。
変数の宣言と初期化を同時に行うint a = 6; | ← 変数の宣言と同時に値を代入(初期化) |
また、以下のように、,(コンマ)で区切ることにより同時に複数の変数を宣言したり、初期化することも可能です。
複数の変数を同時に宣言int a,b; | ← 変数a,bを宣言 |
int a=1,b=2; | ← 変数a,bを初期化 |
int a,b=1; | ← 変数a,bを宣言、bのみを初期化 |
変数の命名規則
C#の変数の命名規則
変数の名前は、基本的にプログラマーが自由につけることが許されています。通常、アルファベット一文字か、その組み合わせといったものが使われる場合がほとんどです。しかし、何でも良いというわけではなく、以下のようなルールがあります。
- 使用できる文字は半角の英文字(A?Z,a?z)、数字(0?9)、アンダーバー(_)、$。(例:abc、i、_hello、num1、$aなど)
- 変数名の最初の文字を数字にすることは出来ない。必ず英文字およびアンダーバーからはじめること。(例:a123 → ○ 123a → ×)
- 英文字の大文字と小文字は別の文字として扱われる。(例:ABCとabcは違う変数とみなされる。)
- 規定されているC#のキーワード・定数を使ってはいけない。
キーワード
なお、予約語とは言語の仕様で使い方が決められている単語のことで、C#のキーワードは以下のとおりです。(表2-4)
abstract | as | base | bool |
break | byte | case | catch |
char | checked | class | const |
continue | decimal | default | delegate |
do | double | else | enum |
event | explicit | extern | false |
finally | fixed | float | For |
foreach | goto | if | implicit |
[in] | in (ジェネリック修飾子) | int | interface |
[in] | in (ジェネリック修飾子) | int | interface |
internal | is | lock | long |
namespace | new | null | object |
operator | [out] | out (ジェネリック修飾子) | override |
params | private | protected | public |
readonly | ref | return | sbyte |
sealed | short | sizeof | stackalloc |
static | String | struct | switch |
this | throw | true | try |
typeof | uint | ulong | unchecked |
unsafe | ushort | using | virtual |
void | volatile | while |
さらに、C#には、コンテクストキーワードというものがあります。(表2-5.)これらはコード内で特定の意味を与えることができます。キーワードと違い、変数名として利用することは可能ですが、誤解を避けるためにできれば避けた方が良いでしょう。
add | alias | ascending |
async | await | descending |
dynamic | From | get |
global | group | into |
join | let | orderby |
partial (型) | partial (メソッド) | remove |
Select | Set | value |
var | where (ジェネリック型制約) | where (クエリ句) |
yield |
代入演算子
代入と演算
すでに述べたとおり、変数に値を入れることを代入と言いました。代入とは例えば以下のように記述します。
代入処理a = 1; | ← 変数aに1を代入 |
a = b; | ← 変数aに変数bの値を代入 |
d = 4.0; | ← 変数dに4.0を代入 |
ここで気をつけたいのが、代入で使用する=(イコール)記号の意味です。数学で、=記号は、左辺と右辺の値が等しい、という場合に用いられる記号です。しかし、C#で代入に用いる=は、少し意味が違います。
代入におけるイコールは、右辺の値を左辺の変数に代入するという意味になるのです。そのため、例えば
自身を用いた計算結果を代入するa = a + 1; | ← ① aに、a+1の値を代入する。 |
b = b * 5; | ← ② bに、b*5の値を代入する。 |
といった記述方法も可能になります。例えば、①ですが、仮に最初の段階でaに4が入っていたとすると、そこに1を足した5がaに代入されます。についても同様で、bに2が入っていたら、2に5をかけた値、つまり10がbに入ります。
プロジェクト:Sample203/ファイル名Program.csusing System; using System.Collections.Generic; using System.Linq; using System.Text; using System.Threading.Tasks; namespace Sample203 { class Program { static void Main(string[] args) { // 使用する変数の定義 int a1=2,b1=2,c1=2,d1=2; // 変数の宣言(1) int a2=2,b2=2,c2=2,d2=2; // 変数の宣言(2) // 普通の演算による計算と代入 a1 = a1 + 1; b1 = b1 - 1; c1 = c1 * 2; d1 = d1 / 2; // 代入演算による計算 a2 += 1; b2 -= 1; c2 *= 2; d2 /= 2; Console.WriteLine("a1={0} b1={1} c1={2} d1={3}", a1, b1, c1, d1); Console.WriteLine("a2={0} b2={1} c2={2} d2={3}", a2, b2, c2, d2); } } }
a2=3 b2=1 c2=4 d2=1
代入演算子
実行結果を見れば判る通り、a1とa2~d1とd2の組み合わせはそれぞれ、記述の仕方が違うだけで、結果が同じであることが判ります。このように、代入演算を用いれば、短い記述で同様の結果を得ることが出来ることがわかります。
なお、C#における主な代入演算は、以下のとおりです。(表2-6.)演算子 | 使用例 | 意味 |
---|---|---|
+= | a+=1; | a=a+1; |
-= | a-=1; | a=a-1; |
*= | a*=2; | a=a*2; |
/= | a/=2; | a=a/2; |
%= | a%=2; | a=a%2; |
キャストとデータの型変換
サンプルプログラム
次に、型の異なる変数に値を代入するケースを見てみましょう。例えば、整数型の変数の値を実数型の変数に代入するような処理です。以下のサンプルを見てみましょう。
プロジェクト:Sample204/ファイル名Program.csusing System; using System.Collections.Generic; using System.Linq; using System.Text; using System.Threading.Tasks; namespace Sample204 { class Program { static void Main(string[] args) { int a; double b,c,d; a = (int)1.23; // キャストで代入 b = 1.23; c = 10; // キャストなしで代入 d = (double)c; // キャストありで代入 Console.WriteLine("a={0} b={1} c={2} d={3}",a,b,c,d); } } }
キャスト
このプログラムでは、8行目でdouble型からint型の変換と、11行目でint型から変換からdouble型への変換を行っています。実行結果から見てわかるとおり、前者の場合、小数点以下の数値が切り捨てられ、後者の場合は、整数に変換されていることがわかります。
8行目と、11行目では、変換する値への型変換がおこなわれています。頭に(int)や(double)などと、変換したい値の型を先頭につけることを、キャストと言います。
キャストd = (double)c;
aはint型の変換なので、double型の変数を代入する際、先頭に(int)とつけ、e2は(double)なので、先頭に(int)とつけることにより、型の変換を行います。このとき、キャストを省略するとエラーになります。また、この処理の結果、小数点以下の内容は省略されます。
また、11行目では整数型を実数型に変換する型変換が行われていますが、同じ変換でも、整数から実数への変換の場合、キャストは省略してもエラーになりません。
文字列の変数
サンプルプログラム
数値などのほかに、C#では文字列を変数として扱うことができます。文字列の変数を宣言するには、stringを使います。厳密に言うと、これはintやdoubleなどといったデータ型ではありませんが、データ型と同じように扱うことができます。まずは、以下のサンプルを実行してみてください。
プロジェクト:Sample205/ファイル名Program.csusing System; using System.Collections.Generic; using System.Linq; using System.Text; using System.Threading.Tasks; namespace Sample205 { class Program { static void Main(string[] args) { string str1, str2; Console.Write("str1="); str1 = Console.ReadLine(); // 1つ目の文字列を入力 Console.Write("str2="); str2 = Console.ReadLine(); // 2つ目の文字列を入力 Console.WriteLine("str1 + str2 = {0}", str1 + str2); } } }
str1=Hello ← キーボードから文字列を入力
str1 + str2 = HelloWorld
実行結果を見てもわかるとおり、実行すると「str1=」と表示され、コンソールから文字列の入力待ち状態になります。ここで文字列を入力してEnterボタンを押すと、再び「str2=」と表示され、再び文字列の入力待ち状態になります。ここで再び、二つ目の文字列を入力し、Enterボタンを押します。
すると、18行目の処理で、+演算子により、文字列の変数同士が結合され出力されます。このように、+演算子を用いれば、文字列を結合することができます。
文字列の入力
なお、文字列の結合はすでに説明したとおり、コンソールからの文字列の入力は、Console.ReadLine()で行うことができます。それを、文字列変数に入力することができます。(15,17行目)
コンソールから入力された文字列を、文字列型変数に代入str1 = Console.ReadLine(); | ← ① コンソールから文字列を入力し、文字列変数str1に代入。 |
str2 = Console.ReadLine(); | ← ② コンソールから文字列を入力し、文字列変数str2に代入。 |
定数
サンプルプログラム
変数は、自由に値を変えることが可能です。しかし、何らかの理由で、定数など、値を変えたいようなことがあります。その時便利なのが、constキーワードです。以下のプログラムを実行してみてください。
プロジェクト:Sample206/ファイル名Program.csusing System; using System.Collections.Generic; using System.Linq; using System.Text; using System.Threading.Tasks; namespace Sample206 { class Program { static void Main(string[] args) { const int NUMBER = 100; const string STRING = "Hoge"; Console.WriteLine(NUMBER); Console.WriteLine(STRING); // constがついた変数は値を変えられない //NUMBER = 100; //STRING = "fuga"; } } }
Hoge
constキーワード
プログラムの13行目および、14行目で、それぞれint型、String型の変数を定義し、初期値を設定しています。15、16行目でその結果を表示していますが、ここまでは、今まで学習してきた変数と変わりません。
しかし、18行目および19行目のコメントをとってみてください。エラーが発生します。つまり、constがついた変数は、一度定義したら、二度と値を変更することが出来ないのです。そのため、constは、円周率のような、値を変えられたら困るような値に使用するのが一般的です。
練習問題 : 問題2.